『「原因」と「結果」の法則』 ジェームズ・アレン |
さすがに荒削りな感じはするが、内容も、書くに至る姿勢さえも、現代の様々な本のベースになっているように思える。
故に、この手の本を何冊か読んでいたら真新しい部分は見当たらないのだが、以下、とても心に響いた部分を1箇所だけ抜粋。
「思いと成功」より・・・
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これまで人々は、こう言いつづけてきました。
「搾取する者が存在するために、多くの人たちが奴隷のようにして生きている。搾取する者たちはけしからん」
しかしいまや、正反対の判断から、このように言う人々も増えてきました。
「奴隷のようにして生きている人たちがいるために、搾取する者が必要とされている。奴隷のようにして生きている人たちこそが問題なのだ」
じつをいうと、搾取する人たちと搾取される人たちは、たがいに協力しあっている人たちなのです。そしてかれらは、どちらもつねに苦悩を手にし、その責任を相手側に向けていますが、実際に悪いのは自分たち自身にほかなりません。
深い理解の持ち主たちは、搾取する側が誤ってもちいているパワーと、搾取される側の弱さが、同じ法則にしたがってきわめて類似した結果を導き出していることを知っています。深い愛の持ち主たちは、自分のほうこそが被害者だと主張するかれらを眺め、どちらの側にもつくことなく、双方に同等の同情を寄せています。
人間は、あらゆる身勝手な欲望を放棄しているとき、搾取する側、される側のどちらにも属していません。そして、そのとき人間は真に自由な状態にあります。
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以上。 ・・・うーん、ちょっとそんな渦中にある人にとってはトゲがあるかもしれないが、またしても頭の中では『マトリックス』と結びついてしまうな(^^;
老子になりたい・・・
さらに「訳者あとがき」より一部抜粋・・・
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ただ、アレンの作家としての収入は乏しかったようです。自身のあらゆる著書の英国外での著作権を放棄していたことが、その第一の理由だとされています。ただし、それはいっぽうで、ほかの国では彼の本を誰もが自由に出版できたということでもあります。そしてそれが、おそらく彼の思惑どおりに、本書の読者数の世界的な拡大に拍車をかけることになったことは、言うまでもありません。
最初の著書『FROM POVERTY TO POWER』を書いた直後、アレンは、イングランド南岸の町、イルフラクームに移り住んでいます。海沿いのその静かな保養地は、彼が哲学的研究を推し進めるために必要としていた雰囲気を、完璧なまでに漂わせていたといいます。そして、夜明け前に近くの小高い丘の中腹までゆっくりと登っていくことが、アレンの一日のはじまりでした。その丘からは、自宅と海が一望できたといいます。そこに一時間ほど留まり瞑想したあとで、家に戻り、午前中を執筆活動にあて、午後は家庭菜園での農作業に精を出す、というのが彼の日課だったようです。夕方以降は知人や友人たちの訪問を頻繁に受けてもいたようです。
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・・・とのこと。
まったくもって「正しいスピリチュアリスト」の鑑、と言えるのではなかろうか・・・
ちなみに、1864年生まれのアレンの作家としてのキャリアは、38歳から他界するまでのわずか9年間にすぎない・・・