『今こそ、エネルギーシフト―原発と自然エネルギーと私達の暮らし』 |
(岩波ブックレット No.810) 飯田哲也/鎌仲ひとみ
大震災の後、原発の問題点、これからの新エネルギーについて書かれた本だが、「思考停止」している人たちにはそこから抜け出す足がかりに、自分たちで調べたり考えたりしている人たちには、その確認用にぜひ読んでもらいたい・・・
震災直後はピリピリとした空気の中、間違っていることを「おかしいんじゃないか?」と気付く人たちが増えたように思えたが、もはや再び大勢の人たちがまんまと思考停止に(操作されて)追い込まれ、『平成維新』の夢は遠ざかっているかに見える。
しかし、あきらめず「おかしいことはおかしい。」と言い続ける人がなくならない限り、必ず変容は起こり続けるものと信じる。
さて、読んだ中で最も印象に残ったのは、「成長市場としての自然エネルギー産業」の項だ。
環境エネルギー政策研究所(ISEP)は、3月23日の時点で『「無計画停電」から「戦略的エネルギーシフト」へ』というブックレット(ペーパー?)を発表していたそうだ。
このブックレット、検索すればWeb上のPDFで読めるのだが、まだ読んではいない(^^;
そしてこの環境エネルギー政策研究所(ISEP)という組織、なんとNPOだった。
これを読んでもらえればそれで良いような気もするが、簡単にまとめておく。
ドイツの自然エネルギーによる発電(主に水力)は、
2000年:6% → 2010年:17% → 2020年:35%目標だ。
(ドイツが2020年に温室効果ガスを40%削減(1990年比)を目指しているのは、BS朝日開局10周年特別番組 『米倉涼子 ドイツ 未来街道を行く』で触れたとおりだ・・・)
世界の風力発電は毎年30%ペースで増加している。
2010年には2億kWにおよび、これはすでに原発(3.8億kW)の半分を超えている。
今後3~5年で原発を抜く見込みだ。
(風力、太陽光、バイオマスを併せればすでに原発を抜いている。)
さて、日本の風力は、、、
2000年:0.4% → 2010年:0.7%
日本の環境省は、風力だけで全電力の何倍ものポテンシャルを持っていると試算しているらしいが、、、 それを実行に移す権限がないらしい(^^;
権限があったとしても、省庁関連や天下りで構成される半官半民法人には、効率よくうまく周知しながら事を進める能力がないのではないか、またNPOには情熱があっても資本力が足りないのではないか、とこのようなイベントを見たときから思っている・・・
残念ながらもはや日本の大マスコミは知りたいことを正しく伝えてはくれない。
「思考停止」したくなければ、自然と『緊急対策マニュアル 原発事故 その時あなたはどうするか!?』や『放射能で首都圏消滅 誰も知らない震災対策』のような非営利団体などが発する情報にたどり着く・・・
最後に鎌仲氏のことば。
「今回起きたことの検証をうやむやにしないことが重要です。うやむやにしようとする力はすでに働いている。毎日の原発情報を見ているだけでも感じませんか。」
奇しくも、今さらやっとのこと文部科学省(米国エネルギー省との共同を含む)による航空機モニタリング結果、東京都の測定結果が発表されたが、これって結局、「信じるか信じないかはあなた次第です。」と突きつけられているように思える、、、
とんだ茶番に思えるのは自分だけか? この情報にも、いつもの報道と同じように「めくらまし」が潜んでいる?
「東京」という得体の知れない集合体は、抑制のきかなくなった巨大企業と同じように、(良心のある)人間の手を離れ「化け物」の様相を呈してきている・・・
おそらく、法人と同様、すでに「東京」という意思を持っている? その、抑制のきかない「意思」に触れた人間は、人間の心を失いがちなようだ、、、
最近しきりに思い浮かぶことば・・・ 「盛者必衰の理をあらはす、、、」
P.S.) こんなことを書いていたら、「被災3県に支援経費を請求 22都県が44億円」というニュース・・・
筆頭は東京都の15億円。「東京って、何やってんだろ??」とさえ(東京のポテンシャルからしたら)思っていたのに、さらにガッカリだ、、、
もちろん、「東京さん」という人格がいたら、システムのせいだとか「国」が「しろ」って言ったからとか、いろいろ言い分もあるだろうが、、、
このような巨大な架空の「人格」の振る舞いを見て、自分のことを棚に上げるばかりでなく自分を投影して、考えを新たにしていくところにようやくたどり着いたのかもしれない。